イランとアメリカ、白熱する報復合戦の背景

イランとアメリカの報復合戦が激化していますが、アメリカとまともに戦えば絶対かなわないと知りながら、それでもあえて過激な報復を行うイランの行動は、なにも意地や感情に突き動かされての行動ではないと思っています。

例えば海外の報道では、こんな記事が出ています。
https://www.nationalreview.com/2020/01/qasem-soleimani-killing-breaks-myth-iran-power/

上の記事は、意訳すると「ソレイマニ司令官殺害事件はイランの“最強神話”を揺るがした」というような内容です。

要するに、中東ではアメリカですらうかつに手を出せない、中東地域の「眠れる獅子」的な存在とされていたイランの絶対性が覆された。
「イランといえど、アメリカの一存次第でどうとでもなる」という認識が広まりつつある。
イランとしては、このようなイメージが広がるのを非常に恐れているでしょう。
なぜなら、イランは国内だけでなく、国外にもイランの息のかかった武装組織をたくさん抱えているわけですが、イランの“無敵性”が疑われるようになってしまえば、それらの組織がイランから離反していうことを聞かなくなってしまう可能性がおおいにあるからです。

イランがアメリカに対して「ここまでやるか」というほど過激な報復行動を繰り返すのは、単なる「アメリカ憎し」ではなく、国外の子分に対して求心力を維持するために「我がイランはアメリカ相手だろうと一歩も引かない力を持ってるから、これからもついてこいよ」と、いわば示威行動、デモンストレーションとしての側面が多いにあると思っています。

当然、アメリカ側もある程度、イランのそういった背景事情を分析していて、「狂信のおもむくままに歯向かってきているわけではない」ということは認識しているでしょうから、この先、アメリカとイランの衝突は両者ともに望むところではなく、ある程度のところで収束を見せるでしょう。

お互いに全面戦争は望んでいない、こう言うと、「じゃあなんでそもそもアメリカは司令官を殺すような極端な行為に出たんだ」とか、「イランのコッズ部隊はアメリカを刺激するようなテロ行為ばかりやらかしてたんだ」というような反論があがりそうです。

それについては、そもそもこのイランの「コッズ部隊」というのは、昔の日本でいう「関東軍」のようなものだとイメージしてもらうとわかりやすいかと思います。
つまり、国外にあって、政府中央の言うことを聞くばかりでなく、独断・独自的に判断して動いている部分がある。

実はイラン国内にも、コッズ部隊やスレイマニ司令官を嫌っている人は大勢いる、という点は見逃せません。

日中戦争もそうですが、満州事変が起こった際、日本政府は中国との全面戦争は望んでいなかったにもかかわらず、関東軍の独走に加えて、盧溝橋での偶発的な衝突などの「偶発的な衝突」を経過して、やがて全面戦争に突入していきました。

実は、歴史上に起こった戦争を分析してみると、どちらの国の中央政府も戦争を望んでなかったにもかかわらず、現場での偶発的な衝突をきっかけにして戦争に発展していった、というケースがかなりの割合で存在すると言われています。

さて、今回のまとめですが、
1.現時点ではアメリカ側もイラン側も全面対決は望んでおらず、お互いにハッタリを効かせあってる段階なので、全面戦争には発展しないまま収束していく可能性が高い。
2.とはいえ、かつての日中戦争のように、偶発的な衝突で多数の死者が出てしまった場合、それをきっかけに深刻な衝突になる可能性もないとは言い切れない。したがって、実際に戦争が起きるにせよ、そうならないにせよ、株式市場が荒れたり、国際企業の中東への進出が鈍るなど、世界の経済情勢に長期的な悪影響が続く2020年になるのは間違いない。

といったところでしょう。

PS
英語の勉強だけでなく、歴史も勉強する事を強くオススメします。
外国人とは話せば分かりますけど、ただ単に言葉が話せるだけでなくて、教養がないと尊敬されないですからね。
(逆にいうと、言語レベルはネイティヴネイティヴ並みじゃなくても、深い教養があれば外国人からも一目置かれますよ。歴史でも文学でも音楽でもスポーツでも、なんでもいいから、何か。)

ちなみに、山川世界史の英語版が出てます。これで勉強すれば英語と歴史が同時に学べます。
よかったら一家に一冊、ぜひ。

英文 詳説世界史 WORLD HISTORY for High School

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA